眠れない夜


あ〜なんだか…眠れない。

隣のベッドで眠っている光一に目を向けると、心臓が鳴った。

や…。なんなのよ〜、この色気は…

毛布から出ている裸の肩と片方の腕が妙に色っぽい。

こちらに背中を向けているから、寝顔が見えなくて残念だけど。

逞しくて滑らかなその背中をじっと見つめていると、体の中心が熱くなってきた。

本当に眠ってるのかな?ね〜起こしちゃだめ?

そっと声を掛けてみる。

「光…ちゃん」

「う…ん」

光一が寝返りを打って、こちらに向いた。

あぁ〜びっくりした。

サラサラの髪が頬にハラリと落ちて、ますます色っぽい。

その頬に影を落とす長いまつげが綺麗…

なのに…

ふふっ。なんで眉間にシワ寄せてるのよ〜。

寝顔をじっと見てると…胸の鼓動がドンドン大きくなっていく。

初めて…私から誘ってもいい?

私のドキドキとは裏腹に…耳を澄ますと、光一はスヤスヤと寝息を立てていた。

いいわけない…か。こんなに気持ち良さそうに寝息立ててる光ちゃん、起こせないよ。

仕方ない、今日は光ちゃんの寝顔で我慢しよう!






「おまえな〜、いつまで見てんねん。」

光一が目を瞑ったままで、痺れを切らしたように声を出した。

「へっ?」

光一がぱちりと目を開けた。

「『へっ?』じゃね〜よ。アホ。」

「光…ちゃん?寝てたんじゃないの?」

「ずっと起きとったで。」

一気に自分の顔が紅潮するのが分かった。

「な〜に、赤くなってんねん。」

「だって〜。」

「『だって〜』じゃねぇよ。誘ってくれんのかいな〜?って期待しとった俺の方がアホみたいやん。」

「えっ?」

「たまには未来の方から誘われるのもええな〜て待ってたけど…しゃ〜ないな。…ほらっ!」

自分の毛布を捲って手招きしてくれた。

「うん♪」

枕を抱えて光一のベッドに滑り込む。

なんだか間近で顔を合わせるのが恥ずかしくなって、くるりと背中を向けてしまった。

背中越しに、光一が呆れた顔で見ているのが分かる。

「まっ、えっか…」

光一は、それだけ言って、そのまま背中からギュッと抱きしめてくれた。

首筋に温かいものが降ってくる。

優しいくちづけの中に、時折チクリと痛みが走る。

「!?」

「俺の…シルシや。」

光一がその低い声で耳元にささやく。

Kissの温度だけで熱く解けてしまいそうなほど、身体が火照っていくのがわかる。

「ぁ・・んっ」

「見せて…未来のすべてを。」



いつもと違う私…

今夜…アナタだけに見せてあげる。




あとがき

光ちゃんのソロ…「I」の中のフレーズをテーマに書いてみました。
どうなんでしょう?誘われたくて寝た振りして待ってる光ちゃんの姑息な演出…
わざと毛布をずらせたり、小さく声を漏らして寝返り打ってみたり…(笑)
二人のドキドキが伝わればいいな〜と思います。



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